26歳の時、私は水商売で働いていました。
たまたま、自分についたお客様が、その後不倫相手となった相手の彼でした。
彼との出会い
初対面の時の彼は、紳士的で、スーツに身をまとい、二重でかっこよく、とにかく私生活が全く見えないような印象でした。
年齢は、私より11歳上で、電気会社の社長さんでした。
いろいろ話をしていると、妻子があり、子供さんは小学生と中学生だと話してくれました。お酒が回った頃に、私の事を「とてもタイプだ」と何度もおっしゃってくれましたが、仕事柄上あまり気には留めていませんでした。帰り際もスマートで、支払いも上手なお客様だなという印象が強く感じられました。
数日後、一人でお店に遊びに来てくれ、私を指名してくださいました。帰り際、よかったら連絡先を渡しておくから、連絡してほしいとと言われ、帰って行かれました。帰宅してから、連絡先を見ながら、「どうしようかな・・」と悩んでいましたが、「一度メールを送ってみようかな」と思い、翌日にメールを送りました。
すると、すぐに返信があり「連絡をくれてありがとう!」「今晩食事でもどうですか?」と言われ、その気になってしまい約束にOKを出しました。
自分らしさが功を奏した
当時、私はショートカットだったのですが、仕事柄上、「やはり男性は髪の毛は長いほうが好きだろう」と思っていたので、いつも長い髪のウィッグを着用していました。
彼とお店であった時も、そのウィッグを着用していたので、お食事のときは、どっちにするかとても悩みました。初めての食事の前、すでに心では「これからも長く会いたい」と思う気持ちがありました。「嘘をついていてもいつかバレるし、思い切ってショートカットで行こう」と決めました。
待ち合わせ場所に行くと、イメージとは違い、仕事で乗っていると思われる軽ワゴンで迎えに来てくれました。音楽は意外にも私も好きなレゲエでした。
そして、以前見ていた彼とは、まったくイメージの違うトレーナーにジーンズとラフな服装。私もショートカットで、お互いお店でのイメージと全く違い、笑い合ってしまいました。そこですべての肩の荷が落ちたようで、「お互い隠さなくても、自分自身でいいんだな」という雰囲気になりました。
お互いお酒が好きだったので、好きなお酒をお互い飲み、食べるのが好きな私に、合うようなお食事やお酒を、上手に注文してくれました。
ホテルに自然な誘導。不倫の始まり。
その後、自然な流れでホテルへ向かいました。お互い激しく求めあいました。その後、日が回った頃には帰宅しました。心は彼の事でいっぱいになり、翌日からは彼氏彼女のように連絡を取り合う日々が始まりました。
当時、私は簡易なアパートに住んでおり、そろそろ引っ越したいなと思っていました。彼とは「付き合おう」という言葉はなくとも、関係は彼氏と彼女でしたが、いわゆる正真正銘の不倫でした。
不測の事態。不倫の危機?
私たちは頻繁に会うようになり、彼は私のアパートへ、仕事の帰りに寄るようになりました。しかし、私は彼に家庭があることは理解した上で、お付き合いしていたため、なるべくばれない様にという事は心がけていました。
仕事帰り、家に来ても食事はさせない、シャワーは浴びさせない、連絡があればすぐに帰宅する、こちらからの連絡は彼が家に帰るまで。などと、自分の中で決め事はいくつか持ち過ごしていました。
いつしか、彼の仲のいい仕事仲間の間では、公認の不倫相手のようになり、顔見知りのようになっていきました。彼が、その友人達と飲みに行くときは、私も誘ってもらえるような関係になりました。
ある日、その友人たちとの飲み会に、私も参加し、飲み会も二次会へと移り、解散となりました。そのうちの友人A君は、この後一人バーへで行ってきますと言い別れました。
私たちは、ホテルへ向かいました。週末で混雑していたため、待合で過ごしているときに、そのA君から連絡が入り、彼は席を外しました。
戻ってきた彼は、申し訳なさそうに「A君が行った先のバーに、うちの嫁が友達と来てるらしく、ばったり会ったらしい。今日は家を出るときに、A君と飲みに行くって出かけたから、A君が一人でバーに来てるのを嫁が見て、『あれ?旦那と一緒じゃないの?』と言われたらしく、とっさにA君は『実は社長、今他の飲み会に顔だしてて、もうすぐしたら来ます』って言ってくれたみたい。だから申し訳ないけど、今から帰らないといけなくなった」と言われました。
正直、ホテルの待合室で、そんなことを言われて、苛立ちと情けなさでいっぱいでしたが、ここで引き留めても誰も幸せにはならないと思い、「わかった」と車に乗り帰宅しました。
不倫相手の引っ越しも援助。
そうこうしているうちに、私は、マンションへ引っ越すことになりました。その引っ越しについても、彼が一緒に見に行ってくれたり、少し援助してくれたりと、とても頼りになりました。
彼が、頻繁に会いに来ることはわかっていたので、駐車場も自分のものと、彼の2台分契約し、駐車場代は毎月彼が支払ってくれました。
新居へ引っ越した後も、不足しているものの買い出しに一緒に行ってくれたり、欲しかった家電を買ってきて来てくれたりと、至れり尽くせりでした。合鍵も彼が持ち、朝仕事へ行く前に家へ寄ってくれたりしました。
不倫の流儀
彼は、家の事を自分から話すことはありませんでした。むしろ生活感はなく、子供の話も一切しませんでした。でも、子供の事に関しては、私が聞けば教えてくれました。
「聞いておもしろい?」などと言いながら、なるべく淡白に話していました。また、家の場所や家族構成、仕事の内容や、お金のことなど、事細かく自分自身の事は話してくれました。むしろ、妻より知っているだろうなと思うほど、自分自身の事を教えてくれたので、そのことが信頼関係に繋がりました。
不倫からダブル不倫へ。
私も、結婚適齢期と言われる年齢になり、表面的にお付き合いする相手を作ることにしました。
彼には大々的ではありませんでしたが、軽く伝える程度はしていました。彼は、あまりいい気はしていませんでしたが、自分が結婚している立場だし、私の年齢的なこともあり、そこまで否定することはありませんでした。
私の中で、「彼を自分の夫にしたい!」と思う時期もありましたが、やはり彼とはこの関係だから、うまくいくのではないかと客観視している部分がありました。なので、彼と結婚とは思ってもいなかったし、今も思ってはいません。
その後、私はお付き合いしていた方と結婚することになり、ありがたいことに二人の子供にも恵まれました。その間、彼とは一度も会うことはありませんでした。理由は、私が妊娠している姿を見られたくないと思ってしまったからです。彼の前ではいつまでも女性でいたいと思っているのです。
今も連絡は取っていますが、「そろそろまた会いたいね」なんて話しています。これからは、不倫ではなくダブル不倫になりそうです。人として最低だとは思っていますが、この道を進みたいと思っています。